コラム

2025年7月10日 | コラム

WISC-Vで分かること・分からないこと、複合的な検査が必要な理由




WISC知能検査は、世界的に使用されている代表的な知能検査で、ウェクスラーが開発した知能検査シリーズの一つです。世界的に使用されている代表的な知能検査のことです。WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition:ウィスク・ファイブ)は、その第5版です。5歳0か月から16歳11か月の子どもを対象に、知的能力を多角的に測定できます。

下記のようなお悩みをお持ちの保護者の方に知能検査が役立つかもしれません
・進路選択の参考にしたい
・子どもの学習面における困りごとの原因を知りたい
・発達の特性を客観的に把握したい
・適切な学習支援方法を見つけたい
・専門的な教育支援が必要かどうか判断したい


■なぜWISC-Vが必要と言われるのか
知能検査に限らず、心理検査や認知機能検査等で最も大事なことは、「困りごとの原因と対応を知る」ことです。
WISCは世界的に使用されていること、多様な知的能力を測定できることから、知的能力の側面から学習や生活の困りごとを明らかにしていくことができます。子どもの知的能力の特徴を知り、その子どもに合った学び方を提供することが可能となります。

■WISCでは分からないこと01
WISC-V測定できないものがあります。
・読み書き能力
・算数の基礎力(数量の知識など)
・言語能力(リスニング力、文法)

■WISCでは分からないこと02
知能以外のことは分かりません。
・性格特性や行動特性(例:こだわりや多動があるかどうか等)
・行動問題の直接の原因
・感情、感情の自己調整
・社会性、対人能力、コミュニケーションスキル
・運動能力(例:不器用さ、姿勢など)

■複合的な検査が必要な理由
WISC-Vは様々な知的能力を検査することができますが、上述の「WISCでは分からないこと」にあるような側面は把握することが出来ません。1つの検査結果では測定できない側面については、子どもの困りごとによって組み合わせてお悩みの原因の追究をすることが大切です。

■WISCはどこで受けられる?
医療機関(児童精神科、小児科など)、発達障害者支援センター、児童相談所、保健センター、教育センターなどで受けることができます。また、大学の心理相談室や民間の心理相談室でも受けられます。
それぞれの機関・施設で心理検査に係る資格(公認心理師、臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士)、医療関連国家資格(医師、言語聴覚士等)のいずれかを有する方、あるいは国家公務員心理職(家庭裁判所調査官等)、地方公務員心理職(児童心理司等)の職で心理検査の実施に携わる方たちが実施をします。

■検査を受けたら・・
結果を知りましょう。検査結果は報告書(書面)で伝えられることがほとんどです。口頭の場合はメモをとったり、書面で欲しい旨を伝えてもよいでしょう。
検査結果の中に、相談内容(困りごと)とそれへの答え、対応方法が記載されます。個の特性を把握し、支援や指導に役立てていくことができます。
たとえば、指示が覚えられないという困りごとで、検査結果でワーキングメモリー指標が低い得点だった場合、「聞きながらメモをとる」ということも困難になります。その場合、一度に出す指示は1つか2つにしてもらったり、正しく復唱させてからICレコーダーに撮る、などの支援が考えられるでしょう。
もしお子さんの発達や学習に関して気になる点があれば、専門機関(検査を実施している施設・医療機関等)に問い合わせてみることをお勧めします。

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