コラム

2025年10月6日 | コラム

LCSAとは?言語コミュニケーション発達を基盤した検査




LCSA(学齢版 言語・コミュニケーション発達スケール)について、わかりやすくご説明します。

1.概要
対象は、主に小学校1年生から4年生の児童で、所要時間は45~55分程度です。学習場面で求められる「学習言語」の力を多面的に評価し、具体的な支援の方向性を見つけることを目的としています。

2. 理論的背景(どのような考えに基づいているか)
LCSAは、言葉の力を、単なる日常会話能力ではなく、学齢期に求められる「学習言語」の力として捉えることを重視しています。

基礎言語から学習言語へ: 幼児期に身につけた「聞く・話す・やりとりする」といった基礎的な言語能力が、小学校での「聞く・読む・書く・話す」といった学習に必要なより高度な言語活動(思考や推論、抽象的な表現の理解など)にどのようにつながり、活かせているかを評価する理論に基づいています。

多面的な評価: 言葉の課題を一つの側面から見るのではなく、「理解」「知識」「表現」「柔軟性」「読み書き」といった複数の側面から多角的に捉え、お子さんの言語面のプロフィールを明らかにしようとしています。

3. 受検の意義(なぜ検査を受けると良いのか)
LCSAを受検する最も大きな意義は、「困りごとの根本的な原因」を特定し、「最も効果的な支援」につなげるための客観的なデータを得ることです。

詳細な課題の特定: 「言葉が苦手」という大まかな理解から、「助詞を使った表現が苦手」「文章を読んで推論することが苦手」といった、具体的なつまずきの場所を特定できます。

支援目標の設定: 明らかになった苦手な部分に基づいて、学校や通級指導教室、家庭での指導や支援の具体的な目標を設定し、効率的なサポートを計画できます。

4. どのような困りごとの時に実施するか
日常の学習や集団生活の中で、以下のような困りごとが見られる場合に実施が検討されます。

困りごとの例:
授業中の指示や、テストの文章が理解できない
自分の考えをうまく言葉で説明できない
語彙が乏しい、慣用句や比喩の意味がわからない
文章を読んでも、内容を深く理解したり推測したりできない

5. 結果から何がわかるか
結果は、お子さんの言語能力を以下の5つの主要な評価領域に分けて、グラフ化されたプロフィールとして示されます。

文や文章の聴覚的理解: 先生の話や、耳で聞いた情報がどれくらい正確に理解できているか。
語彙や定型句の知識:基本的な言葉の知識や、慣用句などの習得状況。
発話表現:質問に答えたり、状況を説明したりする言葉の表現力。
柔軟性:状況に合わせて言葉を使い分けたり、考えを切り替えたりする柔軟性。
リテラシー: 仮名文字の読みの力や、文字で書かれた文章の読解力。

このプロフィールを見ることで、お子さんの言葉の「強み」と「弱み」が視覚的にわかり、指導者が効果的な支援計画を立てるための羅針盤となります。

6.どこで受けられる?
希望される際は、以下の施設に問い合わせてみることをお勧めします。
①医療機関・クリニック
小児科、児童精神科、心療内科などのうち、発達障害や学習障害(LD)の診療に力を入れている医療機関。臨床心理士や公認心理師、言語聴覚士(ST)が在籍し、心理検査や発達検査を専門的に行っているクリニック。(例:一部の医療機関では、WISC検査などと合わせてLCSAが実施されています。)

②心理・教育相談機関
発達支援センター、子ども家庭支援センターなどの公的な相談機関。
民間の心理相談室、カウンセリングセンターなどで、言語発達支援や学習支援を専門としている施設。

③教育機関(学校内・関連施設)
小学校内の通級指導教室(ことばの教室)や、学校と連携している教育支援センターなど。


臨床心理士/公認心理師 井上 操

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